盛り上がりをみせる「民泊ビジネス」は儲かるのか?現状とこれからについて

作成日:2019.10.03

民泊

民泊とは?

日本では、「民泊」について法律上明確な定義となるものはありません。
海外では「ホームシェアリング」「バケーションレンタル」などが以前から普及していましたが、日本でも2008年頃から、Airbnb(エアビーアンドビー)のようなネットの仲介サービスを利用し、国内外の旅行者に個人の家の一部の部屋や投資用マンションを有償で貸し出すビジネスモデルが広がり、その宿泊サービスを「民泊」と呼んでいます。

今では、個人が自宅の空き部屋を貸し出したり、個人投資家が民泊向けに投資用マンションを運営するような小規模なものだけでなく、不動産業者が建設したマンション形式の宿泊施設を「民泊」として運用する形態のものもあります。

宿泊施設としてのみの形態のものもありますが、個人の自宅の一部を利用しているような場合、オーナーによる食事の提供や訪日外国人向け異文化交流イベントを催しているところもあります。

民泊ビジネスの仕組み

民泊には、「旅館業法」「国家戦略特区法(特区民泊)」「住宅宿泊事業法(民泊新法)」による3種の運用形態があります。「民泊新法」ではさらに「家主居住型」と「家主不在型」に分けられています。
当初高いハードルを設けられていた民泊ですが、旅館業法の規制緩和や2018年6月施行の民泊新法(住宅宿泊事業法)により個人が民泊業に参入しやすくなりました。
それぞれの運用形態を比較してみましょう。

旅館業法
簡易宿所
国家戦略特区法
(特区民泊)
住宅宿泊事業法(民泊新法)
家主居住型 家主不在型
許認可方法 許可 認定 届出
提供日数 制限なし 2泊3日以上の滞在 年間営業日数180日以内
宿泊者名簿 作成・保存義務有
フロント設置 努力義務有 不要
衛生措置 換気、採光、照明、防湿、清潔等措置 換気、採光、照明、防湿、清潔等措置、
使用の開始時に清潔な居室の提供
換気、除湿、清潔等措置、定期的な清掃等
火災報知器 必要 必要(民泊部分面積が小さい場合緩和) 必要
苦情受付 事業者 家主 管理者
不在時の管理業者委託業務 不要 規定有
宿泊施設 ホテル、旅館、簡易宿所(民泊) 自治体の条例に従う 住宅
(家主居住)
住宅
(家主不在)
実施エリア 全国 特区のみ 全国

民泊新法では、都道府県知事への住宅宿泊事業届出書の提出が義務付けられています。
民泊事業者はAirbnb(エアビーアンドビー)など民泊仲介サイトに情報を提供し、サイトを通して民泊の宿泊予約・集金をします。仲介サイト掲載には都道府県届出番号の確認が必要で、これにより利用者にとっても安心して民泊を選ぶことができるのです。
民泊事業者は部屋の掃除など物件の管理を業者に委託することができますが、「家主不在型」の場合は、住宅管理業務の委託を義務付けられています。

民泊ビジネスが伸びている背景、盛り上がりの理由

訪日外国人観光客増加にともなう宿泊施設の不足

ここ数年、訪日外国人観光客は著しく増加しています。また、東京オリンピック・パラリンピック開催に向けて、日本政府は「観光先進国」を目指し官民一体となって様々な取り組みを進めています。
急激な需要拡大に宿泊施設が不足、Airbnb(エアビーアンドビー)など仲介サイトの普及により空き部屋を紹介しやすくなったため、民泊ビジネスが拡大しています。

不動産投資の新たな選択肢

日本では人口減少がますます進んでいます。それにも関わらず新たに建築される住宅数はいまだに増加の一途を辿っています。結果的に賃貸物件の賃料が下がったり空室率が上昇し、一般的な不動産投資に対する魅力が薄れてきたと感じる投資家も増えてきています。
そんななか、空室となった賃貸アパートや投資用マンションを利用して民泊経営を始めるなど、空き家や空きビルをリノベーションして民泊物件にする新たな投資方法として注目されてきています。
利回りを重視する不動産投資にとって、魅力的な選択肢のひとつとなっています。

シェアリングエコノミー(共有型経済)の認知度向上

シェアリングエコノミーとは、個人が保有する遊休資産の貸出を仲介するサービスであり、ソーシャルメディアの特性である情報交換に基づく緩やかなコミュニティの機能を活用することによって可能となった『モノ・サービスの共有』で成り立つ経済の仕組みのことです。
例えば、戸建て賃貸住宅のシェアハウスや自動車のカーシェアなどです。
訪日観光客需要への対応や空き家問題対策としてのみならず、経済学的に「短期のルームシェアリングサービス」と位置付けられる民泊がこれらシェアリングエコノミーの推進により、今後ますます普及するものと考えられています。

民泊ビジネスの問題点

一方、民泊ビジネスでは様々な問題も発生しています。

近隣住民と民泊利用者のトラブル

利用者のマナー違反(ゴミ捨てルールの無視、早朝・深夜の騒音など)や不特定多数の見知らぬ人がマンションや近所に頻繁に出入りすることへの近隣住民の不安、外国人観光客による犯罪や事故の不安などにより、近隣住民との間で問題が浮上しています。

ヤミ民泊

日本で合法的継続的に民泊事業を行うには、旅館業法簡易宿所、特区民泊、住宅宿泊事業法のいずれかの方法によりますが、それぞれに様々な規定がありコストも要するため、無許可の「ヤミ民泊」が横行しています。
また許可以前の問題として、マンションの管理規約などにより民泊が禁じられている場合、民泊として利用することはできません。

民泊ビジネスの今後

前項で述べた「ヤミ民泊」の原因のひとつに、「民泊新法」では『一年間の営業日数の上限が「180日以内」と定められている』という点が挙げられます。年間稼働率が1/2に制限されるため投資物件としての収益率が上がらないのです。
マンスリーマンション契約と組み合わせるなど、合法的に年間を通して高い収益性を維持できるようになれば課題解決の一助となるでしょう。

今後の日本において、訪日外国人観光客の増加、シェアリングエコノミーの推進などにより民泊の必要性はますます高くなり、民泊事業に投資を考える投資家も増えてくるでしょう。
前項で述べたように様々な問題点が浮上していることから、今後も法規制など民泊をめぐる最新情報をしっかりチェックしておく必要があるでしょう。

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