インフレリスクとは?攻めの投資だけじゃない守りの投資

作成日:2019.11.14

インフレリスク

皆さんは「投資」という言葉に対してどのようなイメージをお持ちでしょうか?
多くの方は「お金を殖やすために行うもの」「今より豊かな生活を目指すために行うもの」というような、現状+αを目指す「攻めの投資」をイメージされているのではないかと思います。
もちろんそれも正解の一つではあるのですが、投資にはもう一つ、「今の生活水準を維持するために行うもの」という「守り」の側面がある事はご存知でしょうか?
今回は、投資なんかしなくても大丈夫、自分には縁がないと思っている方に「守りの投資」についてお伝えしたいと思います。

お金の価値は変化する

お金の価値というのは時代の流れとともに変化をします。
分かりやすい例でいえば、テレビや本などで出てくる「当時の1,000円は現在の価値に直すと100万円」というようなものです。1,000円という額面は今も昔も変わらず1,000円のはずなのに、どうしてこのような価値の変化が起こるのでしょうか?

「物の値段の変化」がお金の価値を変える


お金の価値の変化が起こる理由は、「物の値段が変わる」ことによって起こります。
食品や飲料水など、「昔はもっと安く買えたのになぁ」と思うことはありませんか?それこそが物の値段が変わっている事の実例です。この値段の変動は、数年・数十年単位で見ると非常に大きなものになっています。

昭和55年(1980年)と平成22年(2010年)での小売価格の違い
1980年 2010年 価値の違い
コーヒー(1杯) 247円 412円 1.66倍
食パン(1kg) 238円 438円 1.84倍
はがき(1枚) 20円 50円 2.5倍
かぜ薬(1箱) 740円 1,492円 2.01倍
理髪(1回) 2,227円 3,686円 1.65倍

(参考:「主要品目の東京都区部小売価格:昭和25年(1950年)~平成22年(2010年)」

カフェや喫茶店に入ると400円、500円くらいは普通に払ってしまうコーヒーも、30年前は250円くらいで飲むことができていました。

もし1980年当時に1,000円持っていたとしたらコーヒーを4杯飲むことが出来たのに対し、2010年では2杯しか飲むことができません。2010年に1980年と同じ量のコーヒーを飲むためには1,648円のお金が必要です。
つまり、コーヒーに焦点を当てて考えると、当時の1,000円は今の1,648円と同じくらいの価値を持っていたという事になります。30年間では1.6倍くらいの変化でしたが、もっと長期間で見ると価値の違いは数十倍、数百倍と大きくなっていきます。これが、最初にお伝えした「当時の1,000円は現在の価値に直すと100万円」という価値の変化が起こる理由となります。

物の値段の変動を測る「消費者物価指数」

先ほどはコーヒーを題材に物価の変動とお金の価値の変化を見てきましたが、国はより総合的に、生活をするために必要な物やサービスを得るために必要なお金の変化を測定しています。それが「消費者物価指数」と呼ばれるものです。総務省統計局のHPでは以下のように説明されています。

消費者物価指数は、全国の世帯が購入する家計に係る財及びサービスの価格等を総合した物価の変動を時系列的に測定するものです。 すなわち家計の消費構造を一定のものに固定し、これに要する費用が物価の変動によって、どう変化するかを指数値で示したもので、毎月作成しています。 指数計算に採用している各品目のウエイトは総務省統計局実施の家計調査の結果等に基づいています。 品目の価格は総務省統計局実施の小売物価統計調査によって調査された小売価格を用いています。 結果は各種経済施策や年金の改定などに利用されています。
(出典:総務省統計局:消費者物価指数(CPI)

ある基準年の物価を100(基準)として、比較年の指数が105となっていれば基準年よりも物価が5%上昇しているという事です。逆に、95となっていれば5%下落しているという事になります。

2019年に発表されたデータでは、2017年を100(基準)として、2019年は101.3と1.3%物価が上昇しています。
ちなみに、同じ2017年を基準として消費税が導入された1989年当時の指数は88.5、11.5%も物価は低い状態でした。1989年と2019年の30年間で比べるとその価値は約14%の上昇率となっており、消費税10%分以上の物価上昇が発生していることになります。

手元のお金で物が買えなくなる?インフレリスクとは


手元のお金と物価の上昇の関係をもう少し見てみましょう。

1989年当時にもらった1,000円を2019年までそのままタンス預金していたとします。そして、当時は1,000円で買えた服があるとします。その服は30年後に14%物価が上昇し1,140円の値段で売られるようになりました。そうすると、タンス預金のお金は1,000円おまま価値は変わっていないのに、その1,000円では同じ服を買う事はできません。
このように、物の値段が上がる事により、お金の価値が下がってしまう事を「インフレリスク」と呼びます。

インフレリスクに対応するには、物価の上昇率よりも資産の増加率を上げる事が必要です。物の値段が5%上昇するのであれば、手元の資産も5%増やさなければ物価の上昇に追いつくことができません。

将来のために必要な投資


バブル崩壊前までは、銀行預金でも物価の上昇と同じくらいの利息を得ることができていました。そのため、多くの日本人は銀行預金という選択をし、投資という選択を取ることはありませんでした。
しかし、バブル崩壊により銀行預金の金利は一気に下がりました。現在は普通預金で年利0.001%(大手メガバンク)。100万円を1年間預けても増える利息はたったの10円にしかならず、銀行に預けていてもお金はほぼ増えない状況です。
将来に向かって物価がどのように推移していくかはわかりません。下がるかもしれないし上がるかもしれない。でも、もし物価が上がった場合に、今の生活水準を維持していくには現在の給与収入+銀行預金だけで十分と言えるでしょうか?

給与についても昔のように年功序列で増えていく時代は終わりました。実力主義、成果主義の時代で昇給を勝ち取り続けられる自信のある人は少ないのではないかと思います。また、将来もらえるであろう年金についても受給額は下がることが予想されています。
昇給は見込めない、銀行に預けていてもお金は増えない、もらえる年金も減るかもしれない。そんな状況で老後も今の生活水準を維持するため、将来に備えるために始めるべき投資が「守りの投資」なのです。

投資はいつから始めるべき?


結論から言えば、出来るなら早い方が良いと言えます。投資は時間を味方につける事がとても重要です。これは複利効果と呼ばれるものと関係します。

複利とは“元本”と“利息”に対して利息が付く計算方法です。例えば100万円を預けて1年で1%の利息がつく場合、1年後には100万円×0.01で101万円。利息は10,000円となります。さらに2年後には、101万円×0.01で101万100円。つまり利息は10,100円となります。これに対して「単利」の場合は、“初めの元本にだけ利息がつく”ので上記の場合、毎年同じ額の10,000円の利息が付くことになります。

複利の効果


複利は積立て投資において投資期間が長ければ長いほど効果を発揮します。
例として、毎月3万円を積立て投資し年利5%で運用した場合、30歳から60歳までの30年間運用すると60歳時点での資産額は約2,500万円になります。2,500万円のうち、投資した元本は1,080万円、利息で増えた分は1,420万円となり、30年間で元本を約2.31倍まで増やすことが出来た計算となります。
これが、スタートを45歳からとして60歳までの15年間運用となった場合、同じ条件で60歳時点の資産額は約802万円となります。802万円のうち、投資した元本は540万円、利息で増えた分は262万円なので、当然増えてはいるのですが、15年の差が運用結果に大きく影響していることがお分かりいただけるかと思います。

15年の運用期間の差を時間以外のもので埋めるには、投資金額を増やすか利回りの高い商品を選んでいくしかありません。しかし、日々の生活や投資リスクを考えたときに、いきなりそこまで多額の資金を投資に回すことが出来るでしょうか?また、利回りが高くなるという事は、それだけその投資商品がはらむリスクも大きくなるという事を意味します。いざ投資を始めようというときに、いきなりハイリスクの商品を選択することが果たして出来るでしょうか?

投資を早く始めるという事は、リスクの低い商品を選択できる・投資に回す金額を抑える事ができるチャンスでもあり、今の生活水準を維持するための「守りの投資」にも繋がるのです。

まとめ

いかがでしたでしょうか?リスクの低い商品を選択して投資をコツコツと継続していくことは将来の生活を守るための「守りの投資」であるという事がご理解いただけたかと思います。
物価や年金、税金がどう変化していくかは予測が難しいですし、個人の力ではどうすることもできませんが、投資であればリスクはある程度自分でコントロールすることも可能です。

国や会社に頼りっぱなしの状態から脱却し、自分の将来は自分で守るという意識をもって投資の第一歩を踏み出して頂ければと思います。

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