一般的にマンションは、エリアの人気、駅からの距離、築年数、面積でその価格相場が決まると言われていますが、もう1つ非常に重要なポイントがあります。それは、マンションの管理状態です。「マンションは管理を買え」と言われるほど、管理状態がマンションの価値を左右してしまう理由とその見極めポイント、対策を解説します。

「マンションは管理を買え」とは?

戸建てと違ってマンションは、複数の区分所有者が共同でその敷地や建物を維持管理に努めなければなりません。自分がどんなにきちんと共用部分を使用していても1人の住人がゴミをまき散らしていたり、自室はモデルルームのようにきれいでもエントランスの壁が剥がれ落ちていては、そのマンションの評価はぐっと下がってしまいます。

敷地内の清掃が行き届き、外壁や共用部分の補修がきちんとなされ、快適な住環境が整えられたマンションは、築年数が経過しても安心して住める人気物件となり、その価値は高く維持される傾向にあります。そのため、「マンションは管理を買え」と言われるのです。

マンション管理とは?

マンションの専有部分以外の共用部を管理するのが管理組合で、区分所有者は全員管理組合に参加し管理費や修繕積立金を支払いマンションの維持管理をすることを義務付けられています。そしてそれをサポートするのがマンション管理の専門家である管理会社です。

管理会社は管理委託契約に基づき、以下の業務を行います。

事務管理業務:管理費等の収納、予算案作成、収支報告、帳簿管理、修繕計画立案、理事会運営支援、総会支援等
管理員業務:建物設備の目視点検、点検・補修工事の立会い、ゴミ出し、来訪者対応、住人のクレーム対応窓口等
設備管理業務:建物設備のメンテナンス、保守点検等
清掃業務:共用部分の清掃

これらが適切に行われていれば良いのですが、「とりあえずやってます」程度の悪質な管理会社に依頼してしまったり、管理会社に丸投げであまりにも管理組合側が無関心だったりすると、管理の質は低下してしまうのです。

管理状態が良くないとどうなるか?

マンション管理が適切でないと、さまざまな弊害が発生します。

弊害の例

・建物や設備の劣化が早く進む

屋上や外壁に亀裂や剥がれがあると雨水の浸水により内部が腐敗し劣化の原因となるため、定期的な点検を行い、問題があればその都度補修すべきですが、放置すると本来の耐用年数までもたなくなります。給排管も定期的な清掃と点検のうえ適切なタイミングでの取替工事をしなければ、劣化による水漏れやちょっとした地震で管に亀裂が生じ、たちまち生活に支障をきたす恐れがあります。

このように建物や設備が適切に管理・補修されていないと劣化のスピードが増し、思わぬ事故やトラブルを招く原因になるのです。もちろん外観も悪くなります。

・想定外の費用負担の増加

建物や設備のこまめな点検と補修を怠ると、後に大規模な修繕が必要となり、かえって負担が大きくなる恐れがあります。工事費を捻出するため、修繕積立金の増額や一時金追徴が必要となり、所有者にとって想定外の負担がかかることとなります。

・住環境の劣化

ゴミ置き場や駐輪場の利用ルールが守られない、共用部分が汚い、植栽の手入れがされていない、共用通路に置かれた私物が目に余るなどの問題は、住んでいて気分の良いものではありません。コミュニティ内のトラブルにも発展し得る問題です。

これらの弊害は無限ループを生み、最悪の場合、故障箇所の補修や必要に迫られた大規模修繕ができないまま放置せざるを得ない状況になります。そうなると徐々に居住環境が悪化し入居者も減り、いずれ「廃墟マンション」と呼ばれるような状態になる恐れがあります。

資産価値への影響

前述のような弊害が出ている場合や出ることが予想される場合、「そこに長く住み続けたい」「そのような物件を購入したい」と思うでしょうか?

管理状態が悪いと空室率が上がったり管理費・修繕積立金の遅滞や未納が増える傾向にあります。そうなると住人の意識は低下し、更に管理状態が悪化するという悪循環を引き起こします。

このようなマンションは購入希望者が敬遠するので、売却したくてもなかなか売れず価格を下げざるを得ません。賃貸に出しても入居者が安定せず、想定した利回りを得ることができなくなるでしょう。

逆に管理状況の良いマンションは、住人の意識が向上して設備を大切に扱ったり、大規模修繕の時期を予定より先に延ばすことができ、その間に余裕をもって積立金を積み上げることができたりと、良い循環のもと人気物件になるのです。

管理の善し悪しを見分けるポイント

マンションの価値を判断する要素である駅からの距離や築年数、利便性や治安などエリア環境と違って「管理状況」は普段外部から見える情報ではありません。

ではどうやって管理の善し悪しを見分ければよいのでしょうか?

新築の場合、管理がどのようになるかはまだこれからのことなので判断することはなかなか困難です。管理費・修繕積立金が意味なく安すぎず妥当な金額が設定されているか、大規模修繕計画が適切かなどから将来を予測し、判断することになります。

一方、中古物件の場合は既に何年も管理してきた経歴があり、それが適切であったかを見ることができます。中古マンション購入時には、管理規約、総会議事録、長期修繕計画案などを確認し、適切な管理が行われているかどうかの判断材料にしましょう。

例えば、
・共用部分使用ルールや民泊の制限など本来必要とされる内容が、管理規約で定められているか
・法改正や新たなルール付けが必要となった際、速やかにそれが管理規約に反映されているか
・大中規模の修繕や火災保険の加入などの際、複数社から見積りを取り丁寧に比較検討しているか
・管理費・修繕積立金等の滞納が無いか
・区分所有者や住人からのクレームや要望に対して、どのように対処しているか
・修繕積立金が適切に積み立てられているか
など

これらから、ルール意識の高さ、状況変更に対するアンテナの機敏さ、経費意識の高さ、コミュニティへの真摯な対応状況や住人の意識レベルなどが見えてくるのです。

また、長期修繕計画において、まずは耐用年数に対して効果的で適切な計画であるかを見るとともに、
・それまで実行された修繕が、予定より早く(遅く)修繕する理由が妥当であったか
・積立金が修繕計画に応じて適切に積上げられているか も重要なポイントです。

積極的に管理に参加し資産価値を上げる

購入前であれば、前述のような点に気を付けながらマンション管理について見極めることが大事ですが、購入後はどうすべきでしょうか?

マンション管理を管理会社に丸投げにすると、どうしても管理状況がルーズになってしまいがちです。

ご自身が所有する物件の管理状況が悪いと感じた場合には、管理組合に積極的に参加し問題点を改善するための意見を提案したり、管理会社と情報交換を密にして状況の改善を促し、主体的に管理状況の向上に努めましょう。

ただ、マンション管理は一個人が頑張っても改善できるものではありません。管理組合の構成員である所有者全員が主体的に自分たちの資産をしっかり管理するという意識を持つことと、そのうえで、管理システムを熟知した専門家のパートナーが必要なのです。場合によっては、マンション管理に定評のある管理会社に変更することも検討すべきかもしれません。

まずはご自身のマンション管理の状況に関心を寄せることが第一歩となります。