企業が事業資金を調達する手段として、一般的には金融機関から融資を受ける方法と、株式上場して投資家から資金を集める方法があります。ただどちらも厳格な審査があり、ある程度の収益実勢が必要なため、これから新たな事業を始めようとする企業や個人にはなかなか容易な手段ではありません。そうした中で「クラウドファンディング」は、近年注目されている資金調達の方法の1つです。

クラウドファンディングとは

「クラウドファンディング(crowdfunding)」とは、「群衆(crowd)」と「資金調達(funding)」を組み合わせた造語で、企業や個人が事業やプロジェクトに必要な資金を、インターネットを通して不特定多数の投資家から募集する資金調達の手段です。

クラウドファンディングの種類

クラウドファンディングは、以下のように分類できます。

投資タイプ……ファンド型、株式投資型、融資型(ソーシャルレンディング)、不動産投資型
非投資タイプ……購入型、寄付型

それぞれの仕組みと魅力をご紹介しましょう。

投資タイプ

投資タイプは、出資することで何らかのリターンが予定されているクラウドファンディングです。

① ファンド型

個人や企業がプロジェクト(事業)を起案し出資を募り、当該事業がその資金によって実現した利益から出資者に分配金が支払われる仕組みです。

投資タイプのなかでは最もハイリスクハイリターンだと言われています。

<魅力>

プロジェクトの成功(当初設定された売上げ目標到達)により、出資者は予定通りの分配金を受け取ることができます。プロジェクトによっては、分配金だけでなくその事業によって生み出されるサービスや生産されたモノを受け取ることもできます。

<注意点>

目標に達していない場合、元本割れするリスクがあります。

② 株式投資型

通常、上場前の企業の株は従業員や直接的な出資者でなければ購入することができませんが、企業が株式投資型クラウドファンディングを使って不特定多数の投資家を対象に未公開株への出資を募ることができます。企業が順調に成長すれば、出資者は配当金と株の売却益をリターンとして得ることができます。

<魅力>

これから成長するであろうベンチャー企業に投資することで、その価値が数倍に大きくなる可能性があります。

<注意点>

投資先企業の倒産のリスクがあります。また、一般市場で売買される株式のように買い手が常に存在するわけではないので、出資者の都合の良いタイミングで自由に売買できるものではありません。一般的にいったん出資(株式投資)すると、その企業が上場するかM&Aにより高値で譲渡されるまでは売却できません。

③ 融資型(ソーシャルレンディング)

クラウドファンディング会社が融資を受けたい企業を紹介し、不特定多数の投資家から小口資金を集めてある程度大きな資金にしたうえで、企業に融資する仕組みです。一般的には募集の段階で利率や融資期間が決められていて、出資者は毎月利息分を受け取り、償還期日には出資金を回収することができます。
なかにはクラウドファンディング会社が企業から不動産を担保に取っていて、万一貸し倒れが発生しても回収できるよう保全措置を講じているものもあります。

<魅力>

小額から投資できるのでリスクを小さく抑えられ、多くは年利3~10%の利息分をリターンとして得られます。比較的低リスクで高利回りが期待できます。

<注意点>

案件によっては、貸し倒れによる損失を被る可能性があります。

④ 不動産投資型

不動産会社が不動産の購入資金として不特定多数の投資家から資金を集め、購入した不動産運営による利益(家賃収入や当該不動産の売却益)を出資者に配当する仕組みです。
なかには優先劣後システムを採用し、万一家賃収入が予定より減少しても一般出資者の分配金が優先して支払われるものもあります。また不動産の売却損が出た場合にも同様に、一定割合までの損失をクラウドファンディング会社が負担することで一般出資者の出資金に損失が及びにくくなっているものもあります。

<魅力>

1万円程度の少額から不動産投資ができ、リスクを低く抑えられます。

<注意点>

投資型クラウドファンディングのなかでは、利回りは低めです。

投資タイプは大きなリターンが期待できるがリスクもある

「投資」にリスクはつきもので、クラウドファンディングにおいても、投資タイプは予定された配当が出なかったり、元本割れする可能性があります。

ただ、利率がほぼ0に等しい銀行預金でさえ、実は1000万円を超える部分は保証がないのでリスクがないわけではないのです。

クラウドファンディング会社が担保を取ったり、優先劣後システムで出資者の不利益をできるだけ抑えようとしているものもあるので、投資家自身がどの程度までリスクを許容できるかを考えながら高いリターンを目指すマイナスとプラスのバランスと、出資対象選びがポイントになるでしょう。

万一出資金が回収できなくても「勉強になった」と思える範囲から、始めてみるのが良いのではないでしょうか。

非投資タイプ

① 購入型

個人や企業がプロジェクト(事業)を起案しリターンとして提供するサービスや商品、権利などを出資者が購入する形で出資する方式です。リターンは金銭以外になります。

例えばレストランをオープンするための資金を集める場合、お食事券やお店のロゴ入りグッズ、貸し切りパーティ、シェフのお料理教室など、起案者が出資額に応じて提供するリターンを受け取ることができます。なかには、店名やキャラクターの命名権など、珍しいリターンもあります。

<魅力>

そのプロジェクトでしか得られない特別なサービスやモノを対価として受け取ることができ、一般には売られていない新しい商品の開発などに出資する機会もあるかもしれません。

<注意点>

あくまでも起案に共感し応援する性質が高いので、出資額に見合ったリターンとは言い難いのが実情です。投資タイプではないものの、起案者が予定通りの商品やサービスをきちんと提供するかどうかの保証もありません。

② 寄付型

災害や環境問題・子供の教育・動物愛護など社会問題に取り組むプロジェクトに、寄付という形で出資支援する方式です。

<魅力>

社会貢献ができるうえに、寄付金控除の対象になるものもあります。

<注意点>

寄付なので、原則としてリターンはありません。
※ふるさと納税での寄付型クラウドファンディングでは、返礼品を受け取る場合もあります。

非投資タイプは応援の気持ちで

寄付型は言葉どおり「寄付」ですし、購入型も「応援購入」と呼ばれることもあるほどですからあくまでも募集しているプロジェクトを応援する気持ちでの出資となります。

起案者とともにそのプロジェクトを成功させる楽しみが、最大のリターンだと言えるでしょう。 以上、クラウドファンディングの6つの種類をご紹介しました。それぞれの魅力や注意点をよく検討した上でご自身にあったクラウドファンディングを探してみてください。