前回、具体的な投資手段について先生からヒントを得た2人は、投資への意欲が高まり、手堅いところからスタートしようと意気揚々と家路に着いたのですが・・・そこから1ヶ月が過ぎ、3人で再会したところ・・・?

※気になる前回の記事はこちら
『人生100年時代~自分の資産は自分でつくる…自助努力ってなに?(2)』

登場人物

Aさん

都内のシステム開発会社に勤務。投資の事に興味を持ち始めたが、日々の仕事が忙しく、勉強の時間がなかなか取れないのが悩みの種。

Bさん

都内の食品メーカーに勤務。2人の子どもを抱える働く父。まだまだかかる教育費と、どんどん迫ってくる夫婦の老後に不安を感じている。

先生

アイディ株式会社に勤務するセミナー講師。お金の事を学んでいくうちに資産運用の必要性を実感。より多くの人に資産運用を始めて欲しいと思っている。

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先生
お2人ともお久しぶりですね!その後どうですか?何か行動に移してみましたか?
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Aさん
・・・それが、あのあと急に忙しくなっちゃって、、、てへっ
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Bさん
僕も恥ずかしながら、妻と落ち着いて話をするタイミングを見計ってたら時間ばかり過ぎてしまって、、、。
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先生
あらら。ということは投資への意欲も揺らいできたんじゃないですか?(笑)
いかがでしょう?少し時間も経ちましたから、改めて何か聞きたいこと、確かめたいことなどはありますか?
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Aさん
ありがとうございます!そしたら私から1ついいですか?
まずは『長期分散投資』が良いと教えてもらいましたが、どうしてでしたっけ?やっぱりリスクを考えると心配になっちゃって。
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Bさん
僕も理屈では解った気がするんですけど、実際にはまだピンと来なくて…。

時間分散投資をおすすめする理由

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先生
分かりました。ではまず、「時間分散投資」について、具体的なデータを使って値動きを一緒に見てみましょう。
下のグラフは、過去40年の日経平均株価の推移を示したものです。
                           (世界経済のネタ帳HPより)
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Bさん
あー、思い出しました。1989年年末が史上最高値で、その後バブル崩壊で下降し、2005年頃からは安定して上昇し始めたのに、今度はリーマンショックが起きて・・・確か2009年にバブル後最安値をつけたんですよね。
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Aさん
すごい!よく知ってますね。
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Bさん
株式投資をやってた同僚がいて、毎日一喜一憂の大騒ぎをしてたからね。
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先生
その通り、それにしてもよく覚えていましたね。
実際の数値としては、1989年年末が3万8,915円87銭で史上最高値となっています。リーマンショックに影響を受けた2009年3月がバブル後最安値となり、7,054円98銭でした。
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Bさん
5倍も差が出てたんですか・・・!
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Aさん
それ、心臓が持ちそうにないですね。
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先生
そうですね。前回お話ししたように、投機的に株式投資をしていた人にとっては、日々の変動が気になって、下がり続ける株価に耐えられずに安いところで売ってしまう人もたくさんいましたね。
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Bさん
はい、僕の同僚もそのパターンで、それ以上損をしないために「損切り」すると言って売ってました。
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Aさん
損切り?
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先生
株価が下落し続けている時に、もうこれ以上の損失をしないために、いったん損失を確定することです。「ロスカット」と言われることもありますね。一度に大きな金額で購入した場合に、株価が下がり続けてしまうと、そういう手段も考えなくてはならない場合がでてきます。
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先生
では、投機的な捉え方ではなく、長期に運用することを計画して、小額ずつ時間分散投資をしていたらどうなっていたと思いますか?
ちなみに、投資のスタートは1989年とします。
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Aさん
えー?でも株価が下がり続けたわけだから、、、はいっ!損失がちょっと減った!
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Bさん
うーん。分散することでリスクは抑えられるんだろうから、もしかしてちょっとプラスになりますか?
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先生
それでは、実際に見ていきましょう。
下の表は、1989年~今年までの8月末日の日経平均株価終値(円未満切捨てで表示)に対し、毎年30万円を投資した場合に購入できる購入口数を一覧表にしたものです。

本来なら毎月購入、投資していく図をお見せしたいのですが、30年分を毎月単位で表にすると非常に見にくくなるので、今回は年1回、8月末に30万円購入するものとしました。また、手数料は考えないものとしています。
経過年数年度購入単価掛金購入口数
1198934,431300,0008.71
2199025,978300,00011.55
3199122,336300,00013.43
4199218,061300,00016.61
5199321,027300,00014.27
6199420,629300,00014.54
71995118,117300,00016.56
8199620,167300,00014.88
9199718,229300,00016.46
10199814,108300,00021.26
11199917,437300,00017.20
12200016,861300,00017.79
13200110,714300,00028.00
1420029,619300,00031.19
15200310,309300,00029.10
16200411,802300,00027.07
17200512,414300,00024.17
18200616,141300,00018.59
19200716,596300,00018.11
20200813,073300,00022.95
21200910,493300,00028.59
2220108,824300,00034.00
2320118,955300,00033.50
2420128,839300,00033.94
25201313,388300,00022.41
26201415,424300,00019.45
27201518,890300,00015.88
28201616,887300,00017.77
29201719,646300,00015.27
30201822,865300,00013.12
31201920,704300,00014.49
32202023,139300,00012.97
合計9,600,000円643.82口
日経平均株価終値(購入単価)平均値16,730
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先生
順に見ていくと、1989年史上最高値の年に投資をスタートした時は、30万円で購入できたのは8.71口でした。その後、日経平均株価の下落していくと、購入口数は逆に増えていき、リーマンショック後の3年間は30口を超える数を購入できていますね。
2012年以降アベノミクスで日経平均株価が上昇したことで、今度は購入口数が20口を切って、最終的には12口になりました。
   
ここまで32年間の投資総額は960万円で、購入口数を見てみると643.82口となります。
さて、これを9月末日の終値2万3,185円で売却したら、1,492万6,966円になります!
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Aさん
すごい!! 500万円以上も利益が出てる!!
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Bさん
最高値の年に投資をスタートして、株価の動きはあったにせよ、最高値の時よりも1万円以上低い価格で売却しているのに、こんなに利益が出るなんて…ちょっとどころのプラスじゃないですね!
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先生
別のパターンで見てみましょう。
もし、リーマンショック後の2010年、株価が1万円を下回った時点で、見る見る落ちていく株価の状況に耐え切れずに売却していたらどうなっていたでしょうか?

投資総額660万円に対して、売却価格が392万6,882円(合計口数445.02口×日経平均株価8,824円)となり、270万円近い損失が出てしまいます。

2013年までもう少し粘って、久々の高値だと思って売却した場合でも、投資総額750万円に対して売却価格が716万872円(534.87口×13,388円)となり、まだ少し赤字となります。

ところが、2014年になって売却をすると、投資総額780万円に対して売却価格が854万9,872円(554.32口×15,424円)となり黒字化、利益が出るようになります。
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Aさん
どうして?!改めて見てみたけど、2014年時点の株価(購入単価)って平均値より低いですよね?売却価格が平均値よりまだ安いのに何で利益が出るんですか??魔法みたい!
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先生
良いところに気付きましたね!
継続して毎年同じ金額で購入することで、購入単価(ここでは日経平均株価終値)が下がれば、購入できる口数が増えますよね。安い時にたくさん買っているということです。逆に、株価が高いときは、購入口数を抑えられているということです。
お得な買い方をしているために、平均値を超えなくても、ある程度値が戻ったところで売却すれば利益が出るんです。
最初のグラフからもわかるように、株価は何年もかけて上がったり下がったりするので、数十年じっくりと投資し続けることでこのチャンスを得ることができるんです。
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Aさん
なるほど~、これが「時間分散投資」の効果なんですね!

投資対象の分散投資でリスク軽減できる理由

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Aさん
もう1つ投資の話によく出てくる「ポートフォリオ」って何ですか?
重要なポイントなんでしょうか?
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先生
「ポートフォリオ」とは、「所有する金融資産の組合せ」のことです。
投資においては、一般的に1つの対象に投資するより、複数の投資商品に分散して投資することがすすめられています。ポートフォリオの例としては下記のような円グラフが良く用いられます。
預貯金30%300,000円
国内株式20%200,000円
国内債券10%100,000円
海外株式30%300,000円
不動産10%100,000円
合計100%1,000,000円
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先生
ここで重要なのは、所有する投資資産の内訳を同じような値動きをする商品ばかりにしないで、異なる値動きをする商品や異なる方法で運用するものをいろいろ組み合わせることです。こうすることで投資資産の共倒れを防ぎ、リスクの分散を図ることができます。

例えば、世界情勢の変化によって1つの金融商品の価格が急激に下がってしまったとしても、他の投資商品の価格(価値)が下がっていなければ、結果として損失を抑えることができるという理論です。
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Bさん
「卵は1つのカゴに盛るな」ですね!
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先生
その通りです!

参考として…コラム『投資の王道「分散投資」とは?』

資産分散でリスクを分散

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先生
具体的に実例で見てみましょう。
今年は、コロナショックで世界中大騒ぎですよね。
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Aさん
はい。経済活動が止まってしまって、つぶれてしまうお店も出てきて…
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Bさん
廃業するお店が続出して、シャッター街になった地域もあるそうですね。
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先生
そうですね。お店を構えて商売をされていた方々は本当に大変だったでしょう。今もまだ客入りが完全に戻ったわけではないですから、今尚ご苦労されていると思います。
このような中、もし商業ビルの不動産リートだけに投資を集中させていたらどうなっていたでしょう。下のグラフは、不動産リート商品の一例です。

<東証REIT指数連動型上場投信>

                          (Yahooファイナンスより)
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Aさん
わ~、下がったまま一定に見えますね…
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Bさん
今の状況じゃ、持ち直すのもしばらくは難しそうだね。
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先生
それでは、このグラフはどうですか?

<地金販売参考価格>

                           (第一商品株式会社HPより)
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Aさん
あら、コロナの時期なのに、右肩上がりに伸びているように見えます!!
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先生
「安全資産」といわれるは、今回のような混乱状態の時や戦争など有事の時には大きく買われる傾向にあるんです。
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Aさん
へぇー、コロナの前に金を買っていた人は大儲けですね!
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Bさん
それって、チャンスに乗じる投機的発想じゃない?
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Aさん
ありゃ…(笑)
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先生
たしかに、あらかじめコロナ危機がわかっていれば金に投資して大きな利益を上げることができたでしょうが、こんなことを最初から予想するなんてなかなか難しいですよね。
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Aさん
そうですよね…(笑)
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Bさん
この先何が起こるかわからないから、どれか1つだけの投資だと大きく損をするか得をするかに分かれてしまうけど、いろいろとポートフォリオを組んでいれば、どれかで損が出ても他の何かで補填できるかもしれない、ってことですね。
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先生
先ほどのポートフォリオの円グラフのように値動きが少なく確実に元本を保持できる預貯金や、異なる値動きをする株式、不動産、金など異なった金融商品に投資してリスクを分散させる、という考え方を『資産分散』と言います。

地域分散でリスクを分散

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先生
ここまで、時間分散と試算分散に触れてきましたが、こんどは下の4つのグラフを比較して見てみてください。

<日経平均>(日本)

(Yahooファイナンスより)

<NYダウ>(アメリカ)

(Yahooファイナンスより)

<ブラジルボベスパ>(ブラジル)

(Yahooファイナンスより)

<上海総合>(中国)

(Yahooファイナンスより)
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Aさん
上の3つは、似た動きをしていて、2020年2月から4月の間で、すごく下がってますね…
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Bさん
コロナショックですね。
でも、一番下の上海総合だけ、何か違った動きですね?
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先生
そうなんです。
一番下の中国は、1月頃に新型コロナの感染爆発が起きました。その後封じ込めに成功し、今はほぼコントロールできている状態と見られ、その他の国に先駆けて経済活動も以前とほとんど同じ状態に戻っていることから、上海総合はコロナ前より高い水準になっているんです。
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Aさん
すごい!じゃあ、中国の株を買っていた人は大儲けですね!
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Bさん
あ、また投機的発想だ…
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Aさん
えへへ…(笑)
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先生
日本やアメリカも経済活動の再開を促す政策を出しているので、期待もあって最近の値動きを見ると株価がコロナ前の水準に戻りつつありますよね。
ただ3番目のブラジルは、ニュースでも報じられている通り、コロナ対策も進まず無理な経済活動再開を推し進めていることから、期待するほどには上昇していないようです。むしろまた下がってきている感じですね。
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Aさん
国の政策や感染状況で、違っているんですね。
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先生
そうなんです。だから、投資対象の国や通貨を分散させる『地域分散』という方法も、リスクを分散させる意味で重要なんです。

自分の投資スタイルに合ったポートフォリオで長期分散投資を

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Aさん
先生、私はどんなふうに分散させるのがいいんでしょう?
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先生
投資対象を分散させる組合せ(ポートフォリオ)については、本人の投資スタイルとリスク許容度によって違ってきます。
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Aさん
投資スタイル?
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先生
少額でコツコツ投資するのか、ある程度まとまったお金を投資するのか、ハイリスクでもハイリターンを求めるのか、それともローリターンでもローリスクで堅実に投資するか、などです。投資スタイルを決めたら、具体的に毎月いくらぐらいの金額でどの程度の期間投資できるかなども考慮して、投資対象の割合を決めていきます。
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Bさん
僕は前回教えてもらったロボアドバイザーのサイトで無料診断をしてみました。確か、海外の株、米国の債券の割合が多かったなぁ。
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Aさん
私、結局まだ診断してませんでした…。
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Bさん
思い出してきました。リーマンショック前に運用を開始した場合のシミュレーションが出て、確か結構殖えてたんですよ!

でも、結局診断だけして今に至ってしまいました…。
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先生
さて、Aさん、Bさん。
今はIT化も進み、投資はとても身近になりました。
あとは長期でじっくり、きちんと余裕資金を置く先を決めるだけです。
始めるのに遅すぎることはありません。自分に合ったポートフォリオをつくっていくには、まず一歩踏み出してみることです。
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Aさん
今の私の知識でちゃんと判断できるかな…
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先生
そう重く考えなくても大丈夫です。今決めたことにずっと制限されるわけではありません。ライフスタイルの変化によってポートフォリオの考え方も変わるでしょうから、その都度、自分に合った投資と付き合っていけば良いんです。
また、実際に投資をすることが何よりの学びになりますよ。
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Aさん
そうですよね…私、今度こそちゃんとやってみます!
先生、色々ありがとうございました!
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Bさん
僕も今晩にでも妻と話して、まずは堅実なところから始めてみたいと思います!ありがとうございました!