どうする!?老後資金の作り方

前回、人生100年時代と言われる所以や年金制度について学び、改めて老後の資産づくりの必要性に気付いたAさんとBさん。今回の話を聞いて、2人の不安はどうなる?!

※前回の記事はこちら
『人生100年時代~自分の資産は自分でつくる…自助努力ってなに?』

登場人物

Aさん

都内のシステム開発会社に勤務。投資の事に興味を持ち始めたが、日々の仕事が忙しく、勉強の時間がなかなか取れないのが悩みの種。

Bさん

都内の食品メーカーに勤務。2人の子どもを抱える働く父。まだまだかかる教育費と、どんどん迫ってくる夫婦の老後に不安を感じている。

先生

アイディ株式会社に勤務するセミナー講師。お金の事を学んでいくうちに資産運用の必要性を実感。より多くの人に資産運用を始めて欲しいと思っている。

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先生
さて、前回はお2人に人生100年時代の生き方のヒントの前段として、基礎的なところをお話しさせていただきました。今回は豊かな老後を送るための具体的な対策、特に政府の施策について見ていきましょう。
お2人は具体的な資産運用についてはこれからとのことですが、身近な方で、何かされている方はいらっしゃいますか?
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Aさん
そういえば去年兄が、WealthNavi(ウェルスナビ)を始めたと言ってました。
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Bさん
あ、それ聞いたことある。自動で資産運用してくれるロボアドバイザーだよね。
僕の友達でもやってる人がいて、ほったらかしで運用できて便利だって以前勧められたことがあるよ。
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Aさん
そうらしいんですけど…でも投資って損するのが怖いんですよね。
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Bさん
そうなんだよね。ただでさえ多いとは言えない資金が、減ってしまったり、万一なくなってしまったら、と思うと心配で…。

投資は怖い?投資と投機は違う

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先生
お2人は、「投資」と「投機」の違いについて聞いたことがありますか?
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Aさん
「投資」と「投機」?え~と、ちょっと待ってください。(検索してみようっと…)
えーと…「短期的」とか「タイミング」とかのワードが出てきますね。
うーん、投機はギャンブル的なものでしょうか?投資とは何が違うんですか?
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先生
両者の文字を見てみましょう。「投資」の『資』は「資本」、「投機」の『機』は「機会(チャンス)」という意味を表しています。
「投機」は、Aさんが先ほど仰ったように、チャンスに投じて利益を狙う「賭け事」のようなイメージです。一方、「投資」は資本に投じてそこから得られる利益を狙うものになります。
例えば、不動産投資を例にとると、値上がりを期待して、安い時に土地を仕入れて、土地の価格が上がったタイミングで土地を売るのが「投機」、長期的な家賃収入を目的に、アパートなどの経営をするために不動産を買うのが「投資」ということです。
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Aさん
じゃあ、宝くじは投機ですよね!
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Bさん
株はどっちになるんですか?株でいくら儲けた、損をした、って言いますよね。
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先生
そうですね、まず、宝くじは「投機」ですね。
株の場合は、先ほどの不動産投資と同じように考えると分かりやすいでしょう。デイトレードのように価格変動を利用して利益を狙うやり方は「投機」と言えますし、長期で保有し、資産を増やしていこうとするのは「投資」のイメージですよね。
「投機」は、株価の動きからの差益を狙って短期間で売買する。だから狙いが外れて株価が下がったら損をします。まさに「賭け事」です。

「投資」はというと、その企業の成長とそこから得られる配当金などの利益を目的として中長期保有していくことになりますから、一時的に株価が下がってもそのタイミングで売らなければ損にはなりません。景気が悪くなっても、株価が下がっても、いずれ景気が回復するのを待って、株価が上昇した時に売れば良いのです。

※これについては、以前のコラム投資を“しない人”と“する人”の将来では資産に10倍もの差が出る!?でも触れていますので、是非確認してみてください。

さて、投資について怖いというイメージを抱いている人のほとんどは、この「投資」と「投機」の違いを曖昧に捉えている傾向があります。
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Bさん
そうか…。目の前の結果に一喜一憂してしまうような、ギャンブルみたいなものは「投機」なんだ。
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Aさん
「投資」は「じっくり育てる」ってことなんですね!
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先生
そうです。ですから、短期間での儲けを狙った投機としての株式投資はお2人にはオススメできません。
それに、本来の株式投資の意義は、投資家が応援したい企業に資産を投じてその企業の成長と発展を支えるところにあります。企業が成長・発展することで、投資家自身の資産も殖やすことができるのです。
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Aさん
へぇー、そういうふうに考えると、なんだかイメージが変わってきますね。
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Bさん
改めて考えると、身近な経済活動の中に株式投資は存在しているんですね。

貯めるお金と殖やすお金を分ける

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先生
投資について改めて理解を深めていただいたところで、次は投資に失敗しないためのお金の見える化をしてみましょう。

下記のようにお金に名前をつけてみましょう。
①日常生活で使うお金
②旅行や趣味など目的の為に準備するお金
③病気や予想外の急な出費に備えるお金
④老後や子供の教育など将来に備えるお金
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先生
①はすぐに消費してしまうお金で、②③④は中長期的に貯めるお金です。④のお金のうち、一部を元本保証されている預貯金で着実に貯め、一部を資産運用で殖やしていく事をおススメします。
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Bさん
投資には余裕資金を使うってことですね。
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先生
仰る通りです。さらに言えば、➀日常生活で使うお金の中に「浪費」がないかチェックしてみてください。よく、余裕資金がないという方もいらしゃいますが、➀の金額を見直すことで、余裕資金が生まれます。

※コラム『投資に使う「余裕資金」とは?金額の目安と貯金との関係について』でも触れていますので参考にしてみてください。

低リスク『長期分散積立投資』で殖やす

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先生
実際には、余裕資金があっても投資する人が少ないですよね。これは日本ではお金の教育がほとんどされていないこと、それによって、お金の話自体、敬遠されてしまう社会性が要因として挙げられます。
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Bさん
そうですね。資産運用の話なんて、周囲の人とはほとんどしないですね。
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Aさん
でもこれからは、そうは言ってられないですよね。将来のために自分でお金をつくらないといけない時代ですから。
私の周りでは、「何かしなければ!」って思ってる人がたくさんいます。
でも、何をすればいいのか迷っていて…。
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先生
確かに投資は元本保証がされていないから資金が減ってしまう可能性はあります。
しかし、だからといってこのまま何もしないで殖やせるはずもないですよね。
お2人は、『長期分散積立投資』という言葉は、聞いたことありますか?
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Bさん
なんとなく聞いたことはありますけど、詳しいことまでは…。
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先生
その名の通り、『長期間』『分散して』『積立方式で』投資をする方法です。
長期分散積立の仕組みは、こちらのコラムを参考にしてください。

コラム『コロナ禍の今だからこそ始めるべき積立投資』

長期分散積立投資にはどんなものがあるの?

積立投資信託

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Aさん
長期分散積立投資って、具体的にはどんなものがあるんですか?
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先生
先ほど話題に出た WealthNavi(ウェルスナビ)も『長期分散投資』の一つです。世界50カ国の株式や債券、金、不動産など11,000銘柄に幅広く分散投資をすることができます。
他にもさまざまな証券会社で、投資信託を毎月積立て購入できる商品が提供されています。
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Bさん
どうして、積立投資に投資信託が多いんですか?
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先生
それは、投資信託が積立投資にとても適している商品だからです。
投資信託は、運用のプロによって国内外の株式や債券、コモディティ(金や原油など)、不動産など様々な投資先が組み合わさり一つのファンドとして提供されているため、一つのファンドに投資するだけでもリスク分散効果が得られます。

また、投資信託は少額から買い付けることが可能です。株式のように売買単位で購入する必要がなく、数千円~数万円で毎月コツコツ購入できる点も積立てに向いています。

ちなみに、ファンドには先進国のものや新興国のもの、株式中心のものから債券比率が高いもの、貨幣を対象にしたものなど、それぞれ特徴があります。エコロジー関連やAIといったテーマ型のファンドというのもあります。

※投資信託については、こちらのコラムも合わせてご確認ください。

コラム『今さら聞けない!「投資信託」とは?初心者にもわかりやすく解説』

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Aさん
んん~、ちょっと見てみてもいろいろありすぎて、何にすればいいのか決められなくなってきました。

ロボアドバイザーによる分散投資(AI投信)

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先生
そんな場合は、WealthNavi(ウェルスナビ)THEO(テオ)のようなロボアドバイザーによる全自動タイプがお勧めです。例えばWealthNaviは「リスク許容度」を診断するアンケートに答えるだけで、最適なポートフォリオ(金融資産の組み合わせ)を提案してくれます。
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Bさん
リスク許容度?
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先生
どの程度までリスクを受け入れられるか、ということ基準です。
リスク許容度は人それぞれ違います。例えば、若い人ほど長期間運用できますから、リスクを多く取ることができます。また、保有資産が多い人は、もしも資産運用で多少損が出ても生活や心理面に与える影響は小さいので、リスク許容度を高く設定できますよね。
リスク許容度は、年齢や年収、保有資産、投資の目的などから5段階に分けて判定されます。そして、自分のリスク許容度に応じた内容で投資ができる仕組みになっています。
WealthNaviのサイトで、誰でもすぐに無料で診断できますよ。
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Aさん
私も診断してみよう!
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先生
投資した資産内容は、運用成績が良いものはどんどん増えて、逆に成績が良くないとその部分の残高は減少します。
時間の経過とともに最初に組んだポートフォリオは崩れてしまうのが普通ですが、WealthNaviはこれに対応し、定期的にポートフォリオの見直しをかけて投資内容を更新してくれる機能もあります。
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Bさん
そんなことも自動でできるんですか!?
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Aさん
兄が「ほったらかしでできるから楽だ」って言ってたのはこういうことだったのか!
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先生
ロボアドバイザー(AI投信)の良いところは、まさに『ほったらかし』でできるところです。

NISAとiDeCo

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先生
ロボアドバイザーについてはこれくらいにしておいて、次は国が推奨するNISAとiDeCoについてみていきましょう。NISAは「一般NISA」「つみたてNISA」「ジュニアNISA」と3種類がありますが、ここでは「つみたてNISA」に絞ってお話しします。

これは、つみたてNISAiDeCo(個人型確定拠出年金)のポイントをまとめたものです。
 【つみたてNISA】【iDeCo】
◆加入条件日本国内在住20歳以上厚生年金・国民年金被保険者
◆積立期間非課税の積立期間は20年 60歳まで
◆非課税投資枠年間40万円
※20年間で最大800万円 
公的年金種類により異なる

会社員・専業主婦(夫):
 年間276,000円
自営業者など:
 年間816,000円
◆掛金月100円~
(証券会社による)
月5,000円~
◆中途換金可能不可
原則60歳まで引き出せない
◆投資商品投資信託、ETF預貯金、投資信託、保険商品など
◆受け取り方売却により受取る①一時金としてまとめて受取る
②年金として毎月受け取る
※(①②組合せ可)
◆税制上の優遇措置①運用益が非課税
②売却益が非課税
①掛金が所得控除対象
(所得税・住民税が軽減)
②運用益が非課税
③積立金受取時の軽減措置
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Bさん
iDeCoの方が税制上の優遇が多いですね! 
あ、でも60歳までか…。僕はあまり時間がないかな。
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先生
残念ながら、60歳に近い人にとってはiDeCoのメリットが小さくなってしまいます。加入時・運用中・受取時にそれぞれ手数料がかかるので、それだけ利益も減ってしまいますし、利益が少なければ元本を割り込み、マイナスになってしまう可能性もあります。
   
ただ、今年の法改正で、2022年5月から加入期間が延長されることとなりました。例えば、会社員は65歳まで延長となります。(※自営業者や専業主婦の場合は、国民年金加入期間によるので確認が必要です)
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Bさん
優遇期間5年の延長は、うれしいですね!
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先生
受取り時期も、これまでは「掛金拠出終了後の60歳から70歳になるまで」となっていましたが、公的年金の受給期間の選択拡大に合わせて、受給上限を75歳まで引き上げることになりました。(2022年4月施行)
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Aさん
選択肢が広がるのは、ありがたいですね。
でも60歳まで引き出せないのはやはり不安です。
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先生
先ほどもお話ししましたが、投資はあくまでも余裕資金で行うものです。特に老後のための資産運用は長い期間となりますので、一部はいつでも引き出せる方法で、一部はiDeCoのように将来のためにあえて引き出せない方法で運用するのも一手ではないでしょうか。
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Aさん
そうか!ここでも分散投資ですね!
毎月1万円投資をするなら、つみたてNISAとiDeCoに5千円ずつ積立てるのもありということですよね!
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先生
Excellent!
iDeCoは毎月5千円から積立て可能ですし、NISAは月100円から積立てられる商品もあります。どちらも途中で掛金額を変更することができますから、小額から始めて、慣れてきたらライフステージに合わせて積立額を変更していくと良いでしょう。
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Bさん
僕はAさんより投資できる時間が短いから、あまりリスクは取りたくないな…。
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先生
iDeCoは定期預金で積立てることも可能ですよ。
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Aさん
でも定期預金だと、利率が低くて全然メリットがないじゃないですか。
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先生
そうですね。単に定期預金に預けるだけであれば、メリットがないかもしれません。ただし、iDeCoは掛金が所得控除されるため、ただ定期預金に預けるのとでは結構違いがありますよ。
例えば、所得税と住民税で合わせて30%の税率になる人が年間20万円iDeCoに積立てれば、掛金は全額控除なので、6万円(20万円×(所得税20%+住民税10%))節税することができます。
これは生命保険と比べても節税効果は絶大です。
また、年間20万円の投資で6万円の利益と考えてみてください。しかもこの利益はもともと税金の還付なので税金がかからない。これほど堅実で高利回りな投資は、なかなかないですよ。
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Bさん
ほぉー。年齢が高く運用期間が短くても、運用益ではなく、節税での利益を狙うというのもありなんですね。
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Aさん
えー、すごい!私も、半分をNISAでちょっとリスクを取りつつ運用して、半分はiDeCoの定期預金で掛金節税しようかな。
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先生
iDeCoの掛金で行う節税は、所得税率が高い人ほど効果があります。
先ほどの例で、同じ年間20万円の掛金でも、税率が5%であれば節税による利益は1万円です。手数料分を引くとあまり大きいとは言えなくなるので、自分の税率に応じた選択をしましょう。

※こちらのコラムも参考にしてみてください。
コラム『確定拠出年金とは?個人型、企業型の違いと活用方法について』

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先生
情報量がかなり多くなってしまいましたので、今日はこの辺にしておきましょう。
お2人とも、それぞれ現状を整理した上で、何から始めれば良いか、ぜひ考えてみてください。
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Aさん
今日の話で、だいぶハードルが下がった気がします!まずは少額でスタートしてみようかな♪
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Bさん
私も、妻と相談してみて、行動に移したいと思います!
ありがとうございました!