REIT(リート)とは、現物を持たない不動産投資として知られている金融商品です。現物を購入するほどの初期費用や手間をかけずに少額で不動産投資したい場合には検討する価値のある投資対象の一つといえるでしょう。今回はREITを現物不動産投資と比べた場合にどのような仕組みやメリット・デメリットがあるかについてご紹介していきます。

REIT(リート) とは?


REIT(リート)とは、「Real Estate Investment Trust」を略した呼称のことで、日本国内では「不動産投資信託」とも呼ばれています。REITは投資家から集めた資金をオフィスビルや商業施設、ホテル、マンションなどの不動産に投資し、賃料収入や売買益を投資家に分配するファンド商品となっています。1960年代にアメリカで誕生したREITは、日本ではJapanのJを頭に付け、「J-REIT」と名付けられ、2001年9月に東京証券取引所に上場されて以来、2019年末には64銘柄、保有不動産は19兆円となり、その取引が拡大してきました。

REITの仕組みを理解する

アメリカのREITも、日本のJ-REITも基本的に同じような仕組みをもっています。日本のJ-REITの場合、「投資信託及び投資法人に関する法律」により、運用している不動産を証券化して投資証券を起債する「不動産投資法人」を中心に以下のような組織でファンドを運用・管理することになっています。

不動産投資法人

市場で取引される投資証券の発行と資金調達のための投資法人債の発行を担当します。
不動産の運用を行うことは法律により禁止されているので、実際の運用は下記の会社にそれぞれ業務を委託し、行われています。

運用会社

ファンドマネージャーを中心にファンドの運用方針の決定や投資対象となる不動産の選定や賃貸条件の決定などを担当します。また、不動産の価値を維持するための修繕計画立案から実行、財務戦略の立案をし、必要な資金調達を行うなど、その役割は多岐にわたります。

資産管理会社

主に、運用不動産の管理を担当します。通常は、信託銀行がその役割を担っています。

事務受託会社

一般事務の委託を受け、運用上の計算業務や会計の帳簿作成、納税に関する事務を担当します。

このように一つの組織ではなく、予め役割が決められている複数の組織でファンド全体の運用と分別管理が行われる主な理由は、顧客の資金や投資物件を勝手に処分できないように資産の保全を図るためです。

現物不動産投資と比較した場合のメリット


REITには現物不動産投資と比べ、以下のようなメリットがあります。

少額で不動産投資が可能

現物の不動産投資の場合、最大限に銀行からの融資を受けたとしても、初期費用で少なくとも数十万円から通常は数百万円の資金が必要になります。
一方、REITでは、その現物の不動産を証券化することで一口10万円程度という少額での不動産投資を可能にしています。

高い流動性の確保が可能

REITは日々市場で売買されているため、市場で売却してから最短3営業日あれば現金化することができます。お財布事情が変わって急に手元に資金が必要になったような場合でも、高い流動性が確保されているため、投資にも流動性を持たせることができます。
一方で現物を売却する必要がある不動産投資の場合、その時の不動産市場や景気、株価、金利動向などによって売却までの期間が異なります。売却開始からタイミングがよければ1ヶ月以内で処分できる場合もありますが、通常は3ヶ月から半年以上の期間が見込まれます。また、望まない売却をせざるを得なくなった場合は、当初想定の売却価格通りに売買できないことも念頭に置いておくべきでしょう。

複数の不動産への分散投資が簡単

REITは多くの投資家から集められた資金によるファンドのスケールメリットを活かし、複数かつ様々な不動産で運用され、それらが証券化され小口で購入できる仕組みになっています。つまり、REITを購入すれば少ない資金で複数の不動産へ投資していることになり、高いリスク分散効果が得られます。同じような効果を現物の不動産投資から得るには非常に多くの資金を必要とするため、多くの方にとって現実的な投資手法ではありません。

現物不動産で必要となる売買の手続きや管理の手間が不要

REITでは投資対象となる不動産の選定からテナント募集、管理、売却などを運用のプロに任せることができます。一方で不動産投資では賃貸募集や物件の管理は不動産管理会社に一任できるものの、購入対象となる物件の選定から維持メンテナンスコストにどれくらいの費用をかけるかといった投資戦略についての最終的な意思決定を自ら行う必要があります。

現物不動産投資と比較した場合のデメリットやリスク


自然災害などによる物件毀損リスクや、銀行融資を受けている場合の金利上昇リスク、不動産市場の環境変化リスクなどはREITでも現物不動産投資でも同様に発生するリスクになります。一方でREITによる固有のデメリットやリスクには注意が必要です。

上場廃止や倒産、元本毀損リスク

投資をしたREITが証券取引所で定められている上場基準に抵触したりすると上場廃止になるリスクがあります。また、投資法人が倒産となるリスクもゼロとはいえず、上場廃止や倒産によって証券が無価値となれば、元本を割り込むリスクも発生します。現物の不動産投資の場合、テナント退去が続いて利回り悪化などになる可能性はあっても、無価値になる可能性は低いため、REITのリスクとして理解をしておく必要があるでしょう。

現物不動産を保有できない

現物の不動産を「保有できない」あるいは「保有しない」というREITの特徴は、既にご紹介したようなメリットになりますが、同時にデメリットにもなることが考えられます。現物の不動産を保有していれば投資用としてだけでなく、実需として居住用や事業用の不動産として利用することができます。
不動産のメリットを最大限活用したい場合、REITには無い魅力が現物不動産にはあります。

レバレッジ効果が低い

現物の不動産投資の場合、会社の財務状況が良好であったり、個人投資家であれば属性が良いなどの条件次第では自己資金をほとんど投下せずとも銀行融資をフル活用することで大きなレバレッジ効果が期待できます。REITでも信用取引なら最大で自己資金の3倍にまでの取引が可能ですが、銀行融資が利用できる不動産投資ほどのレバレッジ効果は期待できません。

まとめ

お伝えしてきたことをまとめますと、REITの特徴やメリットを踏まえると少額で分散投資をしたい人に向いている商品となりそうです。反対に、大きなレバレッジ効果や現物保有を重要視する人の場合には、REITではなく、現物不動産投資が向いているということになるでしょう。いずれにしてもそれぞれのメリットとデメリットをよく天秤にかけ、投資先を選択するのが良いでしょう。